銭形平次をキリスト教の精神で書いた 野村胡堂

出演者
岩井基雄
制作
PBA 太平洋放送協会
再生時間
5min
タグ
  • 愛する人を失ったとき

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アップロード日
2022.10.22
カテゴリ
人物・人生
聖書箇所
[新約聖書] コリント人への手紙第二 1章4節
放送日
2022.10.22

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「世の光」の時間です。お変わりありませんか。岩井基雄です。この土曜日は、歴史の中を歩んだクリスチャンの生涯から学んでみましょう。
今日は「銭形平次」の作者野村胡堂です。江戸の長屋に住む、岡っ引の銭形平次が、子分の「親分てぇへんだぁ!」との掛け声で持ちこむ事件を、投げ銭や十手を駆使し、見事な推理力で解決する捕物帖です。
それは「罪を憎んで、人を憎まず」の精神で書かれており、平次は罪人を赦す愛に満ち、時に犯人を見逃すのです。作者の野村胡堂は「私は銭形平次をキリスト教の精神で書いています」と語っています。
胡堂は1882年岩手県で農家の次男として生まれました。小学生のときに自宅が全焼する悲しみを通る中、本をよく読んでいたようです。『水滸伝』に登場する人物は、平次の投げ銭のヒントになったそうです。
1896年盛岡中学校、第一高校に入学。この頃から聖書に触れ、キリスト教会に通うことがあったようです。彼の同窓生には金田一京助、下級生に石川啄木がおり、胡堂は啄木に俳句・短歌の手ほどきをしたと言われています。心を表現する力は、この頃からあったのでしょう。東京大学に進むも、家の破産から除籍となり、キリスト者新渡戸稲造の甥を通して、報知社という出版社に就職し活躍します。
同じ村の橋本ハナと結婚しますが、1927年長女が結核に冒され、17年の生涯を閉じます。そのクリスマス、胡堂は悲しみに沈む妻に聖書を贈っています。この頃キリスト教信仰は、なお深まったと言われています。間も無く、長男も結核に冒されます。
文藝春秋から執筆を依頼された胡堂は、1931年病床に在った長男のために、子どもでも読めるものをと「銭形平次捕物控」の執筆を始めます。人情味あふれキリストの愛を描く物語は、子どもだけではなく悲しみを通る人々に力を与えていきました。
悲しみを通った胡堂自身が、神から受けた慰めを、多くの人に届けたいとの祈りから生まれたのかも知れませんね。
聖書のことば「神は、どのような苦しみのときにも、私たちを慰めてくださいます。それで私たちも、自分たちが神から受ける慰めによって、あらゆる苦しみの中にある人たちを慰めることができます。」新約聖書 コリント人への手紙第二1:4

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