父の転職

出演者
菊地百合子(山形ホーリネス教会 牧師)
制作
PBA 太平洋放送協会
再生時間
5min
タグ
  • 不安や恐れを感じているとき

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アップロード日
2021.07.06
カテゴリ
人物・人生
聖書箇所
[新約聖書] ルカの福音書 12章33節
放送日
2021.07.06

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 「世の光」の時間です。お元気でしょうか、山形ホーリネス教会の菊地百合子です。
 私が小学校の一年生になった時、大阪市福島区で傘屋をしていた、祖父母の家に引っ越しをしました。引っ越した家は小さな家でしたが、父が後を継ぎ、洋傘作りのために、家中を使って働いていました。
 一緒に働いてる人には、韓国人のばあちゃんや、差別で結婚を反対されて家出していた居候のお姉さんがいたり、いろんな人が出入りをしていました。子ども心に、自分の家は貧しいのか豊かなのかわからなくて、何度か父に、「うちにはお金があるの?ないの?」という質問をしたことがありました。すると父は決まって、「うちは大金持ちやで。手元には現金はないけど、天国貯金は山ほどある。必要な時、必要なだけ、天の蔵から降ってくる」と、本当に自信たっぷり答えてくれました。
 ある時、家に裁判所からの差し押さえが入り、家財道具に赤紙が貼られるということがありました。私はその様子が心配でしたが、父は動じる様子も見せず、平然としていました。何とかなるという信仰が父の中にあるのを、子どもながら感じる出来事でした。不思議なことに、赤紙が貼られた家財道具は何ひとつなくなりませんでした。
 その後、父は、これからは車社会になる。洋傘製造業は時代遅れだと言い始め、転職を考えるようになりました。そこで、キリスト教式の葬儀屋をする事を思い立ちました。しかしこの仕事は、周囲の説得で断念することになりました。時代の変化とともに、路面電車が高架線路を走るようになり、家の近くに駅が移転してきました。それを機に、洋傘製造業をやめて、「シャローム」という喫茶店を開業することになりました。私が中学一年生になった年のことでした。
 父がよく言っていた聖書のことばを紹介します。
 「自分の財産を売って施しをしなさい。自分のために、天に、すり切れない財布を作り、尽きることのない宝を積みなさい。天では盗人が近寄ることも、虫が食い荒らすこともありません。」ルカの福音書12章33節
 この喫茶「シャローム」への転職は、その後、大きな祝福をもたらしました。どうぞ今日も一日、お元気でお過ごしください。

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