アイヌ語保存の使命に生きた知里幸恵

出演者
岩井基雄
制作
PBA 太平洋放送協会
再生時間
5min
タグ
  • 不安や恐れを感じているとき

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アップロード日
2019.06.24
カテゴリ
人物・人生
聖書箇所
[新約聖書] ガラテヤ人への手紙 6章5節
放送日
2019.06.24

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世の光の時間です。お元気ですか。岩井基雄です。第四週の月曜日は、歴史の中を歩んだクリスチャンの生涯から学んでいますが、今日は、アイヌ語保存の使命に生きた知里幸恵について学んでましょう。
 アイヌは、北海道などに住んでいた日本の先住民族で、歌や踊りに秀でた独特の文化を持っていました。しかし、明治期に北海道開拓が始まると、アイヌは土地を追われ、同化政策によって日本人化させられたのです。アイヌ語には文字がありませんでした。日本語教育が進む中、アイヌ語を話せない人々も増え、アイヌ語という民族のよりどころすら失われつつあったのです。
 明治36年に、アイヌに生まれた知里幸恵は、聡明で偉大な愛の語り部を祖母に持ち、アイヌ語と日本語を巧みに操れる稀有な存在でした。また、当時にはめずらしいクリスチャンの一族であったことから、幼いころから差別も受けました。彼女も幼い時に、宣教師バチュラーから洗礼を受けています。幸恵は、叔母が住む旭川で生活するようになり、職業学校在学中、研究で北海道に来た言語学者、金田一京助と出会います。そして彼に才能を認められ、幸恵はアイヌの口伝を和文にする作業を始めます。気管支や心臓を患いながらの不安な日々の中、幸恵は、神様から与えられた使命を全うしたいと上京し、アイヌ語の保存に尽くしたのです。
 上京する一カ月前、幸恵は同じ教会に通う青年と仮祝言をあげたばかりでした。東京に出た幸恵は、医者から結婚は不可、安静にしていれば命は保たれると宣告を受けます。しかし彼女は、「私ははっきりと、行手に輝く希望の光明を見た。涙のうちから神の大きな愛をみとめました」と語り、その身を神に任せたのです。アイヌ語の口伝を和文に訳すことは、学者への協力ではなく、自分にしかできない使命だと幸恵は受け取っていたからです。苦しみの中、最後の力を振り絞って、アイヌ神謡集の校正を終えた晩、彼女は19歳の短い地上の生涯を終えました。晩年の彼女の手紙や日記は、心の葛藤とともに神を求める祈りに満ちていました。
 聖書の言葉「人にはおのおの、負うべき自分自身の重荷があるのです。」新約聖書ガラテヤ人への手紙6章5節。あなたの使命はなんでしょうか。

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