「世の光」の時間です。お元気でお過ごしでしょうか？関根弘興です。
アダムとエバの息子はカインとアベルです。しかし、兄のカインが弟のアベルを殺してしまうというとんでもない出来事が起こり、カインは、住み慣れた土地から離れていきました。しばらくしてカインは町を建て、新たな歩みがはじまっていきました。そして、カインの家は、次から次へと子どもが生まれ、何代も家は続いていきました。そのカインの子孫にレメクという人が生まれました。「レメク」とは、「強い者」という意味の名前です。彼は、まさにその名の通り、頼れるのは自分の強さ、力だけ、と考えるような人でした。このレメクは、ふたりの妻をめとりました。一夫多妻の始まりですね。そしてレメクに三人の子どもが生まれたことが書かれています。
ひとりはヤバル。彼は牧畜を行う者となり、その働きを発展させていきました。そして、二人目は、竪琴と笛を巧みに演奏する者になりました。芸術を発展させる者になったのです。そして、三番目のトバル・カインは、青銅と鉄のあらゆる用具の鍛冶屋であったと書かれています。これは、技術や科学の発達を意味しています。人には、生理的な欲求があります。生きていくために必要に応じて食べたり飲んだりといった衣食住ですね。人はまた、美しさを求める欲求があります。芸術的なものを求める、そんなこころです。美しい絵画を見たり、自然の景色を見たり、また、奏でられる音楽を聴くと、感動し、心が癒やされますね。ですから、この世界に芸術がなければ、無味乾燥した世界になってしまうでしょう。
そして、人間には知的欲求があります。それによって、新しい発見や発明がなされていきました。科学や技術の発達は、知的欲求のなせるわざで、こうしたものが私たちの生活を快適にさせ、便利にさせてくれるわけです。ですから、こうしたことはどれひとつとっても決して悪いものではありません。それは神様が人に備えてくださったものであり、生活を豊かにしていくものだからです。
しかし、問題は、もし、人が謙遜さを失い、神様をあがめようとせず、ただ自分の力の誇示のためにそれらを用い、自分がまるで神であるかのような振る舞いになっていくとき、その文化は限りない危険性をはらんでいるということを知っておかなければなりません。カインの末裔達は文化を発展させていきました。しかし、神様の前で謙遜さを忘れてしまうと、人間を危険へと導くものへとなってしまうのです。