ドイツ留学とドイツのクリスマス、そして挫折

出演者
柳瀬洋さん、飛田紀代美
制作
PBA 太平洋放送協会
再生時間
5min
タグ
  • 不安や恐れを感じているとき
  • クリスマス

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アップロード日
2021.12.07
カテゴリ
人物・人生
放送日
2021.12.07

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「世の光」の時間です。今週はクラリネット奏者で音楽宣教団体ユーオーディアの代表を務める柳瀬洋さんの話をお送りしています。今日は第二回「ドイツ留学とドイツのクリスマス、そして挫折」です。

私はクラリネットを始めた頃から、憧れのクラリネット奏者の方がおりまして、その方がミヒャエルスというクラリネット奏者なのですけれども、その先生がドイツで教えていらっしゃるので、その先生のもとで学びたいというのが夢でした。
その先生はデトモルトという町で教えておられました。デトモルトというのは隣町がおとぎ話で有名なハーメルンという町ですけれども、どちらもまるでおとぎ話の世界に行ったような美しい小さな町なのです。そこにドイツでも古い歴史を誇る有名な音楽大学がありまして、そこに行きました。
ちょうど、そこに着いたときにはクリスマスのちょっと前の時期でしたけれど、どの家にも4つのろうそくが立てられていまして、質素ですけれども心のこもった美しい飾りつけをして。そのころ、町々に移動遊園地が巡ってきて、子どもたちはそれを楽しみにしているんですね。クリスマスマーケットが開かれたりなどして、すごく賑わっていました。
クリスマスになった当日、店という店みんな閉まってしまうのですね。ひっそり、ひっそりして、そして町にある教会の鐘が一斉にあちこちから鳴って、鐘の音が空中で溶け合うようなハーモニーを醸し出して。そして、家族で揃って教会に行って礼拝を静かに捧げるというクリスマスだったのです。素敵なクリスマスだなあと思ったのがドイツのクリスマスの印象でした。
さて、偉大な教授のもとで勉強が始まったのですが、先生の前で演奏したときに先生からこういうことばを言われたのです。「あなたの演奏はなんだか機械のようだね。音楽というのは機械じゃありません。もし、音符をそのまま機械のようにただ音にできたとしてもそれは音楽じゃない。意味がない。一からやり直しですね。」ということを言われて、本当に愕然としたのですね。
そう言われたレッスンの帰り、下宿まで私も泣きながら帰ったのを忘れることができません。本当に尊敬していた先生に「だめだ」と言われた時に「今まで何をやっていたのだろうなあ。何を目指してやってきたのだろうなあ。」ということをつくづく思わされました。「本当の音楽」そして、また「人生の目的って何だろうなあ」なんて考えさせられたのがその先生との出会いでした。

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