ルカの福音書-73 支配ではなく愛によって

出演者
大嶋重徳
制作
PBA 太平洋放送協会
再生時間
5min
タグ
  • 不安や恐れを感じているとき

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アップロード日
2021.09.15
カテゴリ
人物・人生
聖書箇所
[新約聖書] ルカの福音書 4章
放送日
2021.09.15

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 「世の光」の時間です。いかがお過ごしでしょうか、大嶋重徳です。ルカ福音書を今週、順番に読んでいます。今週の箇所では、イエス様が会堂で、聖書を教えられたときのことが記されています。
 イエス様が会堂で語られ、そこからさらに、故郷の会堂へと向かわれました。自分の生まれ故郷でも、イエス様のことが話題になっていました。イエス様は自分の生まれ故郷で、「あなたがたが耳にしたとおり、今日、この聖書のことばが実現しました。」と、聖書のことばにある救い主の実現は、わたしのことだと語られたのです。
 地元の人々の反応はこうでした。「『この人はヨセフの子ではないか』と彼らは言った。」これまでと同じく恵みのことばが、イエス様から語られました。しかし人々の反応は、「イエスは自分がよく知っているあのヨセフ一家の子どもに過ぎないではないか」と思う心が生まれたのです。自分が昔から知っているヨセフの子のイエスが、いつの間にか、立派になって帰ってきた。しかし、いつの間にか、自分の知らないことばを言う人になっている。
 私たちは、自分が深く関わった存在が、自分の知らない側面を見せたり、知らない人間関係や知らない生活をもっていたりすると、寂しさと同時に腹立たしくなることがあるかもしれません。自分の手の中に入っていると思っていたものが、そうではなくなる思いがするからです。子育てもそうでしょう。親は、子どものことを誰よりも自分が一番知っていると思いたくなります。しかし親が、子どものことを全部知っているはずなどないですし、そんなことなどはできるはずがありません。そのことをわからずに、親が子どもに対してその愛情という名の支配の時間が、長ければ長いほど、子どもにとっては負担が増していきます。しかも、自分の気に入った姿でなければならないとイライラしてしまう。それでは、愛ではなく支配です。
 イエス様も、この感情を地元の人たちからぶつけられました。本当は神の子であるのに、自分たちの思いどおりのヨセフの家の子であるように、支配されそうになりました。この人間の愛という名の支配にさらされる気持ちを、イエス様は知っていてくださいます。そして、その支配を打ち破ってくださるのです。
 そこには愛はないと。そこには神の恵みはないのだと。聖書のことばが実現するところには、人の支配を打ち破る愛があることを、イエス様が教えて下さったことを、今日、私たちは、心に刻みながら、恵みのことばに生かされていきたいと思います。

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