かつか?れた男

出演者
板倉邦雄
制作
PBA 太平洋放送協会
再生時間
5min

もっと詳しく見る

アップロード日
2021.01.05
カテゴリ
人物・人生
聖書箇所
[新約聖書] 使徒の働き 21章
放送日
2021.01.05

いいね登録

     登録数:0

いいねリストを見る

 「世の光」の時間です。いかがお過ごしですか、板倉邦雄です。今日は「かつがれた男」という題でお話ししましょう。スポーツで優勝した監督や選手を胴上げするのを見たことがありますが、人々にかつがれる人は、あまり見たことはありません。使徒の働き21章の続きです。
 さてパウロは、エルサレム市内で騒動を起こした責任で、ローマの千人隊長に捕えられ、二重の鎖で縛られ、ローマの兵営へ連行されることになりましたね。でも、騒動の張本人はパウロではなく、パウロをおもしろく思っていないユダヤ人たちでした。ところが、パウロを兵営まで連行途中で困ったことが起こりました。エルサレムの市内の道は狭い上に、階段も多かったようです。連行中にパウロが階段で群衆の暴行を受けることを避けるため、兵士たちにパウロをかつがせていくという始末でした。大勢の民衆が、「あの男をやっつけてしまえ」と叫びながらついてきたからです。
 パウロが、兵営の中に連れて行かれる途中でした。ローマの千人隊長に「ひとこと、あなたにお話ししてよろしいですか」とギリシャ語で尋ねました。千人隊長はびっくりして「お前はギリシャ語を話せるのか?では、もしか思えは、先ごろ反乱を起こした後、4000人の刺客を引き連れて、荒野に逃げていったあのエジプト人ではないのか。」
 パウロは答えました。「いいえ、違います。私はタルソ生まれのユダヤ人で、キリキア地方のれっきとした都市のローマ市民です。お願いです。民衆に話をさせてください。」
 ローマの千人隊長は、二度びっくりしたことでしょう。一度は、パウロがギリシャ語を話したことです。そして二度目は、この男がキリキア地方の都市タルソのローマ市民権を持っていることでした。ローマ市民権を持っている人を、罪状も決まらないのに、不当な扱いをしてはならなかったからです。千人隊長はパウロに、民衆に話すことを許しました。
 さて、ここで注目すべきは、ローマの千人隊長が騒動の引き金となったパウロを、人々から暴行を受けないように、兵士たちにパウロをかつがせたこと、そして、話す機会まで与えたことです。権力を持つ人が、面倒なことに時間を費やすことや、人権を配慮することなどあまり考えられないからです。

コメント

番組に対するコメントはまだありません。ぜひ感想をお願いいたします。

コメントを投稿する

お問い合わせ