「世の光」の時間です。お聴きくださりありがとうございます。羽鳥頼和で す。
世の中はとかく、声の大きな人、押しの強い人が主導権を握りやすいと思い ます。旧約聖書の列王記にも、押しの強い王に翻弄される、気弱な王が出てき ます。その気弱な王とは「ヨシャファテ」です。彼は信仰深い王でしたが、押 しの強い王アハブによって命を落としそうになりました。
事の始まりは、アハブ王が強敵アラムとの戦いで、ヨシャファテに協力を頼 んだときのことです。ヨシャファテは「分かりました。でもまず神様におうか がいをたてましょう」と言いました。ところがアハブは、自分のお抱えの預言 者たちに「必ず勝てます」と言わせたのです。
おかしいと気付いたヨシャファテは、「本当の預言者であるミカヤに聞いて下 さい」と言いました。アハブは、ミカヤのことが大嫌いでしたが、しぶしぶ彼 を呼びました。ミカヤはアハブに言いました。「神はあなたを惑わそうとしてお られる。戦いに出ていきなさい。神はあなたに災いをくだします。」
アハブは激怒して、ミカヤを牢獄に入れてしまいました。そしてアハブは強 引に戦いに出て行きます。そして、自分は王と分からないように変装して、ヨ シャファテに自分の鎧を着せたのです。案の定、戦いの中でアハブと間違えら れたヨシャファテは、敵の攻撃を受け、逃げ惑います。
しかしほどなくして、敵はアハブでないことに気づいて攻撃をやめました。 そのとき敵の兵士の一人が何気なく放った矢が、なんと変装していたアハブを 射抜いたのです。こうしてアハブは死んでしまいました。ヨシャファテはアハ ブに協力したことを反省して、一層、神に従うようになりました。
聖書は、ヨシャファテの人生を振り返って、彼が偶像崇拝をする祭壇を、国 から取り除くことができなかったと述べています。神は、彼の失敗を知ってお られたのです。しかし神は、ご自分に従おうとする彼の信仰をご覧になって「彼 は私の目に適っている」と認めてくださいました。神はどんな間違いも絶対に 許さないお方ではなく、憐れみ深いお方です。